心房細動は治る?
心房細動は、動悸などの自覚症状により発見されることが多い不整脈の一つです。心臓は規則正しいリズムを刻み、絶えず血液を体全身に送り出しています。心房細動ではその規則正しいリズムが乱れて、送る血液量も低下してしまいます。
心房細動の原因としては、心臓弁膜症などの器質的心疾患でも発症しますが、加齢や飲水不足なども原因となります。
心房細動で特に怖いのは、リズムが乱れて脈がバラバラになるため、心臓内の左房という場所で血液が滞り、更に血液が凝固して心臓内で血栓という“かさぶた”を作ってしまいます。その“かさぶた”が心臓内に留まっている時は良いのですが、壁から剥がれて血流に乗ると脳に達して血管を閉塞し脳梗塞を発症します。未治療の心房細動の約6割で生じるとのデータもあります。心房細動によって生じる脳梗塞は、国立病院機構九州医療センター脳血管・神経内科科長、矢坂正弘先生が言われるノックアウト型脳梗塞という大きな脳梗塞を生じることが多く、運良く命を取り留めても、麻痺などの酷い症状が残り寝たきりになることが多いといいます。
心房細動においては、まず気おつけることは脳梗塞を起こさないようにすることで、現在では新しい抗凝固薬が普及しています。昔はワーファリンという薬で治療しましたが、この薬は治療域が狭いため毎回受診時に採血を行い、効いているかの効果判定をする必要がありました。また納豆やクロレラなど服用できない食品・薬品がありました。現在の新しい薬では、それらの制約は必要なくなっています。
完治を目指すに治あったては、アブレーションというカテーテルによる治療法が確立されています。ただし、心房細動に長期罹患している場合や、左房系がかなり大きい場合などでは、アブレーションを行っても完治が望めないことが多く適応外になることがあります。また、1回のアブレーションでは、完治できない場合もあり複数回アブレーションを行うこともあります。アブレーションで心房細動が完治すれば、服薬も中止して日常生活が送れるようになります。
心房細動は症状がないこともあるので定期的な健康診断を受けることは重要です。当院でも風邪で受診された方が、たまたま心房細動だったということもありました。
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